ただの-家族写真-。
こんにちは、フォトグラファーの加藤です。
3月は、春の入口に立つ月です。
空気はまだ冷たいのに、光だけが先にやわらかくなって、夕方の色が少しだけ長く続く。
そんな“変わりはじめ”の気配の中で、ふと思うことがあります。
残したいのは、卒業や入学みたいな大きな出来事だけじゃなくて、何も起こらない日の家族なんじゃないか、と。
特別な服じゃなくていい。きれいに並ばなくてもいい。うまく笑わなくてもいい。
いつもの服のしわも、寝ぐせの名残も、照れた横顔も。誰かがふいに目をそらす癖。
小さな手が、無意識に親の袖をつかむ感じ。
「ちゃんとして」と言いながら、声が少しだけ笑っているところ。

家族って、言葉より先に、距離で語るんですよね。
近づき方も、離れ方も、触れ方も、それぞれ違う。
その“いつもの形”は、ずっと同じに見えて、実は毎日少しずつ変わっています。
写真は、その変わっていくものに、そっとしおりを挟むみたいなものだと思います。
未来でページを開いたとき、そこにいるのは「昔の自分たち」じゃなくて、確かにあの日の温度です。
部屋の匂い、髪の柔らかさ、笑い声の反響。思い出そうとしなくても、勝手に戻ってくる。
スタジオlettreで撮る“ただの家族写真”は、派手な演出じゃなくて、いつもの空気を大切にする時間です。
会話をしながら、少しずつ緊張がほどけて、誰かが笑って、誰かがつられて、家族の距離が自然に整っていく。
その瞬間を、静かに拾っていきます。

3月は短い。春は足が速い。
だからこそ、今の家族に、ただの一枚を。
何気ない今日が、いつかの宝物になるように。
スタジオlettreでお待ちしています。
